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空のような目

首の重さで残

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首の重さで残


秋霖とは程遠い、まるで夏の夕立のような激しい雨が鈴ヶ森の刑場に降り始めた。もしかしたら大風(台風)の走りの雨なのかもしれない去眼袋方法
そんな痛みさえ感じるほどの雨に見物客は慌てて屋根のある場所へと逃げ出し、刑場の竹矢来の外には傘を持っているか、笠を被っているごく僅かな人間しかいなくなってしまった。

「・・・・・・ある意味、天は西山に味方したのかな中學數學

自らの羽織を幸の頭に被せながら五三郎が呟く。どのみち濡れてしまうだろうが、何も無いよりはましだろう。そんな五三郎を横目に見つつ、先を越された猶次郎は小さく舌打ちをした。

「確かにそうやな正能量。町人の晒し者になっての斬罪なんて武士として最悪や」

そんな中、ただ一人落ち着いていたのは為右衛門だった。土砂降りの中、まだ往生際悪く暴れている西山を見下ろしながら、ひにん達に命じる。

「泥にまみれるが、仕方ないな・・・・・・引き切りにするから地面に押さえつけろ」

普通の斬罪だったら、単純に刀を首に向けて振り下ろす、それだけである。それが囚人を一番苦しませずに済む方法だからだ。
しかしこう暴れられては狙いが定まらないし、西山を押さえつけているひにんたちに怪我をさせてしまう可能性が出てくる。罪人のために努めを手伝ってくれるひにん達に怪我をさせるわけにはいかないのだ。
そんな為右衛門の命令にひにんたちは頷き、西山を地面に押さえつける。その瞬間泥が跳ね上がり、西山の白帷子や顔を汚した。

「くそっ、陪臣風情が!」

泥が口の中に入るのも構わず、西山は喚き散らす。だが、為右衛門はそんな西山の言葉に煽られること無く、感情のない声で言い放った。

「・・・・・・その陪臣どころか、貴殿を押さえつけているひんたちにも劣る行いをしたのはどなたかな?」

その瞬間、西山の動きが一瞬止まる。それと同時に為右衛門の剣が振り下ろされた。打首と引き切りの中間くらいだろうか、一刀両断に、とは行かなかったが西山はほぼ即死状態であった。
そんな西山の亡骸をひにん達が持ち上げると、首の重さで残っていた首の皮がちぎれ、西山の首は泥の中に落ちる。

「・・・・・・せめて武士らしく平常心を心がけていれば泥に塗れずに済んだものを」

武士として、否、一人の人間としてあまりにも惨めな死に方に同情の念が沸いたが、これも西山伊織という人間の生き様だったのだろう。

「皆、ご苦労。早く屋根のあるところへ行くように」

斬罪でも場合によっては埋葬が許されることもあるが、今回はそれさえ許されていない。西山の亡骸は雨に打たれるままに放られ、ひにん達と為右衛門は雨を避けるためその場から離れた。
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