忍者ブログ

空のような目

ねずみがいっぱい

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

コメント

ただいまコメントを受けつけておりません。

ねずみがいっぱい


父はわんぱくで勉強嫌いだったので、早くに家を出された。行き先は大阪の老舗の粟おこし屋だった。そこで父は、地味な職人ではなく商人として鍛えられたのだった。それで絵描きではなく商人の道が決まってしまったnu skin hk
父がだいじにしていた花札がある。
その花札のすべての絵は、父が若い頃に描いたものだと自慢していた。そんな絵心もずっと持ち続けていたのかもしれない。
ぼくの目の前で、父は一度だけ絵を描いたことがある。
どこかの田舎の道で、その真ん中に黒っぽい大きな塊が描かれてあった。その黒いものを何かとだずねると、それは石だと父は答えた。そんな石のようなものが絵になるのかと、ぼくはびっくりした記憶がある。商売と生活に追われていた父が、絵など描いたのはそれきりだ水解蛋白

祖父は死ぬ前に、朦朧とした意識の中で、3匹のねずみが九州から会いにきたと言ったと、のちに聞いた。3匹のねずみとは、ぼくと二人の妹のことだったらしい。
その頃、東京で長い放浪生活をしていた痩せたねずみは、祖父が死んだことも知らなかった。

祖父は白髪だったが、父は歳とともに髪の毛が薄くなった。
ひな鳥のようになった頭を、孫たちが面白がってからかうと、寝ているあいだにねずみが齧りに来るんだと言って、父はチビたちを笑わせていた。
わが家には相変わらず、ねずみがいっぱい巣食っていたのだろう。
子どもの頃は、ねずみは米びつに穴をあけたり、鏡餅をかじったりして人の生活のすぐそばにいた生き物だった郵輪假期
夜中に天井裏を駆け回っていたねずみたちも、その後はどうなったことやら。コンクリートの中で暮らしているせいか、かつて身近にいたねずみたちも、いまではすっかり疎遠になってしまった。
PR

コメント

プロフィール

HN:
No Name Ninja
性別:
非公開

P R